ケアハウス(軽費老人ホーム)とは?自宅介護が限界になる前に知っておきたい選択肢

「ケアハウスとは」というテキストを笑顔で指差す女性

「親の介護をしながら仕事や家事もこなすのが正直つらい」
「一人暮らしの親が心配だけど、同居は難しい」

そんな40〜60代の家族にとって、ケアハウス(軽費老人ホーム) は、自宅介護と有料老人ホームの”中間”にあたる選択肢です。

ケアハウスは、自治体や社会福祉法人が運営し、公的な補助を受けながら月額7〜13万円程度(一般型の場合)で入居できる高齢者向けの住まいです。「まだ重い介護は必要ないが、自宅で一人暮らしを続けるのは不安」という人に向いています。

この記事では、ケアハウスの基本から、具体的な費用相場、退去条件のリアル、他の施設との違い、そして「うちの親の場合はどこに相談すべきか」の判断軸まで、家族目線で分かりやすく解説します。

ケアハウス(軽費老人ホーム)とは?

ケアハウスは「安価で安心できる高齢者向け住宅」

ケアハウスは軽費老人ホーム(C型)の一種で、60歳以上の高齢者が低料金で入居できる自治体や社会福祉法人が運営する公的な施設です。自治体からの補助金によって入居者の負担が軽減されています。

各居室は原則個室で、食事の提供や安否確認、生活相談などのサービスが付き、「一人暮らし+必要な見守り」をセットにしたようなイメージです。介護が必要になっても、外部の介護サービス(訪問介護など)を組み合わせて暮らせるケースもあります。

自宅介護の家族にとっての「ケアハウス」の位置づけ

まだ重度介護ではない親の見守り、生活支援を専門スタッフに任せられる点が最大の特徴です。
「同居は難しいが、今の一人暮らしには限界を感じている」ケースで、現実的な選択肢になりやすいでしょう。

有料老人ホームほどの費用負担はできないけれど、親の生活の安全性は上げたい、という家族にフィットする施設です。

2つの種類:「一般型」と「介護型」ケアハウス

一般型(自立型)ケアハウス

主な対象: 60歳以上で、日常生活はほぼ自立している人。
サービスの中心: 食事提供、安否確認、生活相談など「家事サポート+見守り」。
介護が必要になった場合: 外部の訪問介護・通所介護を利用しながら住み続けるケースもあれば、要介護3以上になると退去を求められる場合もあります(退去条件は施設ごとに異なるため要確認)。

介護型(特定施設)ケアハウス

主な対象: 65歳以上で要介護1以上の認定を受けている人。
施設内のスタッフが、食事・入浴・排せつなどの介護サービスを提供します。「特定施設入居者生活介護」の指定を受けているため、介護度が上がっても原則退去の必要はありません。認知症ケアや看取りに対応した施設もあります。
機能としては特別養護老人ホーム(特養)に近い部分もあり、「特養にはすぐ入れないが、自宅で介護を続けるのは限界」という人の受け皿になるケースもあります。

軽費老人ホームA型・B型との違い

軽費老人ホームにはA型、B型、C型があり、このうちC型が「ケアハウス」です。A型・B型は1990年以降新設されておらず、2008年からはケアハウス(C型)の基準に一元化される方針となったため、現存するほとんどの施設はC型です。

ケアハウス(C型)は「個室が基本」「プライバシーを保ちつつ、食事・見守りが付く」という、現代のニーズに合わせた設計が多いのが特徴です。

ケアハウスの費用相場:具体的にいくらかかるのか

なぜ有料老人ホームより安いのか

ケアハウスは自治体や社会福祉法人が運営し、国、都道府県、市町村からの補助金を受けています。さらに、入居者の収入に応じて事務費(人件費や共用部の維持管理費)が減額される仕組みがあるため、民間の有料老人ホームと比べて低価格を実現しています。

初期費用(入居一時金)

種類初期費用の目安内容
一般型0〜30万円程度「保証金」として支払い、退去時に清掃・修繕費を差し引いて返金
介護型数十万〜数百万「入居一時金」として支払い、所定の償却期間で月額に充当

一般型は賃貸住宅の敷金と同様の扱いで、比較的負担が小さいのが特徴です。
介護型では数百万円となるケースもありますが、初期費用0円の施設も一部存在します。

月額費用の内訳と相場

ケアハウスの月額費用は、主に以下の3つで構成されます。

費目内容金額の目安(一般型)
事務費人件費・共用部の維持管理費など。所得に応じて変動(月額1万〜約10万円)所得連動
生活費食費・共用部の光熱水費など約4〜5万円
居住費家賃にあたる部分(居室使用料)約1〜5万円(地域差大)

月額費用の総額目安

種類月額費用の相場
一般型約7万〜13万円
介護型約10万〜20万円(介護サービス費込み)

参考比較:有料老人ホームの月額費用は15万〜40万円程度であり、ケアハウスの費用の安さが特徴です。

【収入別】事務費の変動イメージ(東京都の例)

ケアハウスの最大の特徴は、事務費が「所得連動」になっている点です。
対象収入(前年の年収から税金・社会保険料・医療費を引いた金額)に応じて、月額の事務費が段階的に変わります。

対象収入(年額)事務費の月額目安想定される主な対象者
150万円以下約1万円国民年金のみの方
150万1円〜160万円約1.3万円国民年金+少額の収入がある方
190万1円〜200万円約2.3万円厚生年金の受給額が平均的な方
260万1円〜270万円約4.7万円厚生年金の受給額がやや高い方
310万1円以上約10万円高収入の年金受給者

※東京都軽費老人ホーム利用料等取扱要綱に基づく目安です。自治体や施設により金額は異なります。
※夫婦で入居する場合は、夫婦の収入を合算し2分の1にした額がそれぞれの対象収入となり、さらに30%減額されるケースもあります。

ケース1:国民年金のみ(対象収入150万円以下)の場合

事務費が最低の約1万円に抑えられるため、生活費+居住費を加えた月額は約7〜8万円台に収まるイメージです。一人暮らしの家賃+食費と同程度で、安否確認・食事提供が付くと考えると、コストパフォーマンスの高さが分かります。

ケース2:厚生年金あり(対象収入200〜250万円程度)の場合

事務費は月額2〜4万円程度となり、月額の合計は約10〜12万円程度。有料老人ホーム(月額15〜40万円)と比べれば十分に抑えられます。

「うちの場合はいくら?」と気になったら、施設や紹介窓口に「対象収入」「年金額」「貯金」などを伝えて概算を出してもらうのが一番早くて確実です。

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ケアハウスの入居条件:誰が入れる?

一般型ケアハウスの入居条件

条件内容
年齢おおむね60歳以上(夫婦の場合、一方が60歳以上であれば配偶者も入居可)
心身の状態日常生活はほぼ自立〜軽度の要支援・要介護
家族状況家族からの十分な援助が難しい、または一人暮らしに不安がある
所得制限なし(A型・B型とは異なり、所得による入居制限はない)

介護型ケアハウスの入居条件

条件内容
年齢おおむね65歳以上
要介護度要介護1以上
その他自立した生活に不安があり、家族の援助を受けるのが困難

いずれのタイプも、原則として身元引受人(連帯保証人)が必要です。身寄りがいない場合は、成年後見制度や民間の身元保証サービスを利用することで対応できるケースがあります。

※実際の条件は自治体や施設ごとに異なるため、「入居できるかどうか」は必ず個別に確認しましょう。

退去条件:「ずっと住めるのか」を必ず確認

ケアハウス選びで最も見落としがちなのが退去条件です。
特に一般型では、入居時に「将来どうなったら退去になるのか」をしっかり確認しておくことが重要です。

一般型で退去を求められる主なケース

退去理由具体的な状況
介護度の上昇要介護3以上になり、外部サービスだけでは生活が維持できないと判断された場合
認知症の進行徘徊や暴力など、共同生活に支障をきたすBPSD(行動・心理症状)が見られた場合
医療的ケアの発生常時の痰吸引・経管栄養・在宅酸素など、施設での対応が難しい医療処置が必要になった場合
長期入院3ヵ月〜6ヵ月以上の入院(施設により期間は異なる)
費用の滞納利用料の支払いが長期間にわたり困難になった場合

退去勧告が出た場合、多くの施設では90日間の猶予期間が設けられ、その間に次の住まいを探すことになります。施設側にも転居先の紹介に協力する義務がありますので、一人で抱え込む必要はありません。

介護型なら「ずっと住める」が基本

介護型ケアハウスは「特定施設入居者生活介護」の指定を受けているため、要介護度が上がっても原則として退去の必要はありません。看取りに対応した施設も増えています。

ただし、以下のケースでは介護型でも退去を求められることがあります。

  • 専門的かつ継続的な医療処置が必要になった場合
  • 認知症が極めて重度化し、24時間の見守りが必要で施設の体制では対応困難な場合

入居前に確認すべきこと

「退去条件」は入居契約時の重要事項説明書に記載されています。以下の点を必ず確認しましょう。

  • 具体的にどの介護度・状態で退去になるのか
  • 退去の猶予期間はどのくらいか
  • 退去時に施設側が転居先探しに協力してくれるか
  • 同法人内に介護型施設やグループホームがあり、移行できるか

といった中長期的なキャリアパスを提示しやすくなります。
「長く働く前提」で賃金、役職、教育を設計することで、日本人職員と同様の中核人材として育成しやすくなる点は、施設運営上の大きな強みです。

ケアハウスと他の施設の違い(比較表)

施設タイプ別の比較一覧

比較項目ケアハウス(一般型)ケアハウス(介護型)特養有料老人ホーム(介護付)グループホーム
対象者60歳以上、ほぼ自立65歳以上、要介護1以上原則 要介護3以上施設により異なる要支援2以上+認知症
月額費用目安7〜13万円10〜20万円6〜15万円15〜40万円12〜18万円
初期費用0〜30万円数十万〜数百万円なし0〜数千万円0〜数十万円
介護度上昇時退去の可能性あり原則 継続可継続可継続可施設による
運営主体自治体・社会福祉法人自治体・社会福祉法人社会福祉法人など民間企業など民間企業など
待機期間1ヵ月〜1年以上数ヵ月〜1年以上数ヵ月〜数年比較的短い数ヵ月程度

特別養護老人ホーム(特養)との違い

特養は原則として要介護3以上の中重度の方を対象とした「終の住処」的な施設です。一方、ケアハウスは「一人暮らしが不安になったときの住み替え先」として、比較的元気な段階から入れるのが最大の違いです。

特養は待機者が多い地域も多く、「入れるまでのつなぎ」としてケアハウスを検討するケースも見られます。

有料老人ホームとの違い

有料老人ホームは民間企業が運営し、入居金や月額ともに高くなりがちですが、レクリエーションやアクティビティ、設備の充実度では上回ることが多いです。ケアハウスは「必要十分な生活支援、見守り」にフォーカスし、費用を抑えたい家族向けの選択肢です。

グループホームとの違い

グループホームは原則「認知症の方」が対象で、少人数(1ユニット最大9人)で共同生活を送るスタイルです。ケアハウスは認知症が必須条件ではなく、「まだ認知症の診断はないが、一人暮らしが不安」という方も入居できます。
「認知症が進んできているかどうか」が、グループホームかケアハウスかの分かれ目になることが多いです。

ケアハウスのメリット・デメリット

メリット

費用面の安心感: 月額7〜13万円(一般型)と低価格で、食事・見守り・生活相談がセットになった環境に入れます。所得が低い方ほど事務費が減額される仕組みがあり、国民年金のみの世帯でも入居しやすい設計です。

プライバシーの確保: 原則個室で、自分のペースで生活しながらも孤立しにくい環境が整っています。

家族の負担軽減: 「一人暮らしの見守り」「安否確認」「緊急時の対応」を施設に任せられ、離れて暮らす家族の精神的な負担が大きく軽くなります。

夫婦での入居も可能: 多くのケアハウスには夫婦部屋(2人部屋)が用意されており、どちらか一方が60歳以上であれば入居できるケースが一般的です。

デメリット・注意点

退去リスク(一般型): 要介護3以上になると退去を求められることがあります。入居時に退去条件を必ず確認し、将来的な住み替え先も視野に入れておくことが重要です。

医療的ケアへの対応限界: 頻回な点滴や痰吸引、在宅酸素管理など、常時の医療処置が必要な場合は受け入れが難しいケースが多く、医療依存度の高い方は別の選択肢(介護医療院など)を検討する必要があります。

入居待ちの長さ: 費用の安さから人気が高く、待機期間は短くても1ヵ月、長い場合は1年以上かかることもあります。特に介護型は待機が長くなる傾向があるため、早めの情報収集と申し込みが大切です。

共同生活のルール: 食事時間が決まっている、外出に制限がある場合があるなど、完全な自由はありません。自宅に比べると生活のルールに従う場面が出てきます。

失敗しないケアハウスの選び方・探し方

見学時に確認したい5つのポイント

チェック項目確認すべき内容
1. 退去条件どの介護度・状態で退去になるか。同法人内の住み替え先があるか
2. 職員体制夜間の見守り体制、緊急時の対応フロー(救急車の手配など)
3. 生活の雰囲気食事の内容・味、レクリエーションの頻度、他の入居者の様子
4. 医療連携提携病院の有無、通院のサポート体制、服薬管理の対応
5. 費用の総額事務費の所得連動額、冬季加算の有無、その他実費の範囲

探し方と相談窓口

  • 担当ケアマネジャーや地域包括支援センターに「ケアハウスを含めた選択肢を知りたい」と相談する。
  • ネットの比較サイトで「ケアハウス」「エリア」で絞り込み、候補を2〜3か所に絞って見学する。
  • 自分たちだけで判断するのが不安なら、費用と親の状態を踏まえて一緒に考えてくれる窓口(地域包括支援センター、施設紹介窓口など)に早めに相談するのがおすすめです。

「うちの親にはケアハウスが合うのか?」迷ったら

ここまで読んで「なんとなく分かったけれど、うちの親の状態だとケアハウスでいいのか、別の施設がいいのか判断がつかない」という方も多いと思います。
ケアハウスは、親の年齢・介護度・認知症の有無・年金額・家族の距離感によって、向き・不向きが大きく変わる施設です。

ケアハウスが向いている方

  • 60歳以上で基本的に自立しているが、一人暮らしに不安がある
  • 特養に申し込んでいるが、待機が長く「つなぎの住まい」を探している
  • 年金収入が少なく、有料老人ホームの費用負担が難しい
  • 認知症の診断はまだだが、物忘れが増えてきて見守りが必要

別の施設を検討すべきケース

  • すでに要介護3以上で常時の介護が必要(→ 特養・介護付有料)
  • 認知症が進行しBPSDが見られる(→ グループホーム)
  • 医療処置が日常的に必要(→ 介護医療院)

「今の自宅介護を続けていいのか」「特養を待ちながら、どこかに一時的に入ってもらうべきか」「ケアハウスと有料老人ホーム、どちらが現実的か」──こうした点で迷われている場合は、記事だけで抱え込まず、親の状態や希望、家族の状況を整理したうえで、ぜひ一度ご相談ください。

具体的な年金額や健康状態を伺いながら、「ケアハウスが合うかどうか」「他に選択肢はないか」を一緒に検討していきましょう。

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