外国人介護人材に車の運転を任せられる?訪問介護・訪問入浴での注意点

外国人介護人材は車を運転できるかについての解説画像.

外国人介護人材も、日本の自動車運転免許を取得し道路交通法に則って運転すれば、車を運転することは可能です。
在留資格そのものが運転を禁止しているわけではありません。
ただし運転は介護業務に付随する行為であり、受け入れ事業者には保険・車両管理・労働時間など事前に整えるべき点があります。

訪問介護や訪問入浴など、利用者宅へ出向く訪問系サービスでは、事業所から利用者宅への移動や訪問入浴に必要な機材の運搬などで車の運転が発生することがあります。「特定技能や技能実習で受け入れた外国人スタッフに運転を任せてもいいのか?」という疑問は、受け入れを検討する事業者から非常によく寄せられます。

本記事では、厚生労働省の公式Q&Aをもとに結論と根拠、受け入れ側が押さえるべき注意点を整理します。

結論:日本の運転免許があれば運転は可能

外国人介護人材であっても、日本の自動車運転免許を取得したうえで、道路交通法に従って運転することは可能です。
これは厚生労働省「介護分野の特定技能に関するQ&A(問26)」でも明確に示されています。

なぜ可能なのか|根拠(厚労省 介護分野Q&A 問26)

厚生労働省のQ&Aでは、訪問系サービスに従事する外国人介護人材も、日本の自動車運転免許を取得し、道路交通法に従えば運転できるとされています。

在留資格そのものは運転を禁止していない

特定技能「介護」をはじめとする在留資格は従事できる「業務」の範囲を定めるもので、車の運転という行為そのものを禁止しているわけではありません。適切な免許があれば外国人スタッフも運転できます。

「介護」業務に付随する運転という位置づけ

重要なのは、運転はあくまで介護業務に付随する行為だという点です。
主たる業務は介護であり、運転そのものが主たる業務になってはなりません。

運転するための前提条件

外国人介護人材に運転を任せる場合は、日本で有効な運転資格を持っているか、業務上の運転が介護業務に付随する範囲に収まっているかを確認する必要があります。

日本の運転免許が必要(外免切替/日本での新規取得)

外免切替:母国で取得した免許を日本の免許に切り替える手続き
日本での新規取得:教習所などを通じて日本の免許を取得する

母国の免許をそのまま使い続けることはできないため、入職後の早い段階で免許の状況を確認しておくことが大切です。
※スイス・ドイツ・フランス・ベルギー・モナコ・台湾の免許は、一定条件下で日本語翻訳文を添付すれば日本国内で運転できる場合があります。(出典:警視庁HP:政令で定められた国等の外国運転免許証で日本国内を運転するには

国際運転免許証は就労者に向かない

国際運転免許証は、発給国や様式、日本で運転できる期間などに条件があります。
長期間働く外国人材の場合、業務で継続的に運転してもらう方法としては期限や確認事項が多いため、
受け入れ事業者としては、外免切替や日本での免許取得を前提に確認する方が現実的です。

運転だけを任せる運用は避ける

送迎や運搬の運転だけを専門的に担わせる運用は、本来業務である介護への従事が伴わず、在留資格で認められた業務範囲から外れるおそれがあります。付随的な業務として許容される程度は個々の状況により判断されるため、運転はあくまで介護業務の一部として位置づけ、業務全体の中で介護が主となる体制を維持する必要があります。

訪問系サービスでの実際|どんな場面で運転するか

  • 利用者宅への訪問にあたっての移動
  • 訪問介護や訪問入浴のための機材運搬を伴う移動

訪問介護分野での特定技能や外国人材の活用は制度面で動きがあり、対象範囲や要件は今後変わる可能性があります。
最新の取り扱いは公式情報を必ず確認してください。

受け入れ事業者が押さえる実務上の注意点

任意保険・車両管理・事故時の責任

業務中の事故に備え、車両の任意保険の補償範囲を確認します。
責任の所在は契約内容や状況によって異なるため、車両管理のルールと併せて整理しておくことが重要です。

労働時間の扱い

移動する運転にかかる時間を労働時間としてどう扱うかを明確にし、賃金計算や勤怠管理のルールを定めます。

雇用契約・業務内容への明記

運転業務が発生することを雇用契約書や業務内容に明記しておくと、本人との認識のズレを防げます。

無免許運転リスクの回避

免許の有効期限や種類を定期的に確認し、外免切替の進捗も把握しておきます。

※ 事故時の責任や労働時間の取り扱いといった法的・労務的な判断は個別の状況で結論が変わります。運用にあたっては社会保険労務士など専門家への確認をおすすめします。

よくある質問

Q1.特定技能の介護で、送迎運転だけを任せてもいい?

A. 避けるべきです。運転は介護業務に付随する行為として認められるものであり、送迎運転のみを担わせる運用は在留資格の業務範囲から外れるおそれがあります。介護業務の一部として位置づけてください。

Q2.母国の運転免許のまま運転できる?

A. そのままでは原則不可。ただし一部の国・地域の免許は、翻訳文添付などの条件を満たせば一定期間運転できる場合があります。

Q3.事故を起こした場合、責任は事業者と本人のどちら?

A. 状況や契約により異なります。任意保険の補償範囲を確認のうえ責任分担や対応ルールを事前に取り決め、専門家にも相談しておくと安心です。

まとめ|運転可否を踏まえた受け入れ体制づくり

外国人介護人材も、日本の運転免許を取得し道路交通法に従えば訪問系サービスで車を運転できます。
運転が介護に付随する行為であること、保険・労働時間・契約面を事業者が事前に整えることがポイントです。

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榎本

榎本

外国人雇用労務士

元政治家秘書として約10年、官公庁向けの書類作成や点検に携わった経歴を持つ。
「表舞台より裏方が好き」という性分から、現在はお客様を陰からサポートする立場で活動中。
人の名前を覚えることが得意(自称)で、人と人とのつながりを何より大切にしている。
外国人雇用の複雑な制度も、現場目線でわかりやすくお伝えします。